みどりの薬箱 🍃フィトテラピー La phytothérapie
病気ではないけれど、なんだかだるい、やる気が出ないなど、体や心のちょっとした不調に気づいて早めに対処することは、大きな病気を未然に防ぐことに繋がります。そんなときに助けになってくれるのが「フィトテラピー」。
日本語にすると「植物療法」で、ハーブや精油(エッセンシャルオイル)など植物の持つ力を借りて人間の体に本来備わっている自然治癒力や免疫力を高め、心身を癒す療法のことです。
「フィトテラピー」はヨーロッパでは医療現場でも使われていて、医学的に効能が認められています。
フランスではエルボリステリー(herboristerie)という薬用植物を扱う専門店があり、一人一人に合った植物を処方してくれるのです。
そんなフランスの家庭では救急箱の植物版である「植物の薬箱」を備え、自分の症状に合わせたハーブや精油などを用いて心身をケアすることが自然に行われています。
フランスに比べて日本ではフィトテラピーがあまり根付いていないように感じる人も多いかもしれませんが、実は、私たちがふだん何気なく取り入れているものにも日本ならではのフィトテラピーがたくさんあります。
例えば緑茶を飲むことも立派なフィトテラピー。緑茶にはポリフェノール類のカテキンやビタミンCも豊富に含まれているので、日常的に飲用することで疲労回復や病気の予防になります。
では、なぜ植物は私たちの体に効くのでしょうか?
以下、森田敦子著『自然のお守り薬』より引用
植物は「抗菌」「発汗」「鎮痛」など、人間の体に与えるさまざまな作用をもっています。
これらはもともと、植物が厳しい環境の中で生き抜いていくために、自ら身につけた力です。例えば病気や老化の原因として、強力な酸化力で細胞にダメージを与える活性酸素がありますが、その害を防ぐポリフェノールやビタミンなども、強い太陽光にさらされる植物が自分を守るためにつくり出すものです。そのため、南国の植物には抗酸化物質が多く含まれています。
フィトテラピーでは、これらの体によい成分を多く含んでいる植物をそのまま食べたり、お茶として飲んだりするだけでなく、植物のエキスをさまざまな形で体内に取り入れます。
例えば植物から抽出した精油は、香らせることにより鼻の粘膜から脳に送られ、肺胞から体内に入ります。また、アロマバスやオイルマッサージに使えば、皮膚からも成分を取り入れられます。
このように植物の力がたくさん詰まったハーブや精油を自分の体質に合わせて選んでみましょう。例えば風邪を引きやすく喉が弱い人でしたら、免疫力を高め、抗菌力のあるエキナセア(学名:Echinacea angustifolia)のハーブや、のどの痛みや炎症を鎮めるユーカリラジアタ(学名: Eucalyptus radiata)の精油、ストレスで気分が塞ぎがちな時には香りの作用で多幸感をもたらし、気分を明るくしてくれるローズやネロリ、ゼラニウムの精油など。このように揃えていくと、世界に一つだけの自分のためのみどりの薬箱が完成します。
自分専用の「みどりの薬箱」があれば、日々の不調にあわてることなく適切に対応することが出来ますね。これは、言わばQOL(Quolity of Life ) 生活の質を上げてより美しく、輝いて生きることに繋がります。
ただし、効果が期待できるものには副作用の可能性がつきものという点は植物も例外ではありません。きちんとした知識を身につけることが大切です。
そして、植物の活用とともに、食事や運動、睡眠といった生活習慣を見直すことも忘れずに!
「みどりの薬箱」はあなたの心身を整えて、ストレス社会と言われる現代を幸せに生きる手助けをしてくれることでしょう。植物はいつの時代もどんな時もわたしたち人間に大きな力を与えてくれます。
森下 ゆり子 Yuriko Morishita
AMPPフランス植物療法普及医学協会認定メディカルフィトテラピスト、ルボアフィトテラピースクール講師
欧米での子育て経験で自然に親しみ、心身のセルフケアをすることで輝きを増す女性の生き方に共感し帰国後フィトテラピーを学ぶ。思春期、妊娠、出産、更年期と幅広い年代の女性の悩みに寄り添う講座を行っている。
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